OutOfTheDoor

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扉の外:ネタバレ感想



なんか、ラノベブログ書評界では絶賛不評中なこの作品。

私は、他人には勧めないけど、興味深く読めたので、感想を書いておこう。



概略

 主人公の一人称視点。

 目が覚めた主人公は、シェルターの中にクラスメイトと共に閉じ込められていることを知る。

 謎のAIが、彼らに状況を説明する。

 地球が滅び、彼らは脱出の宇宙船の中にいると。

 そして、シェルターのルールを説明。

 シェルター内では、一定の「生産」が行われ、トークンが彼らに支給される。それを、娯楽に使ってもいいし、ゲーム内での軍備予算に使用してもいい。ゲームは、クラス共同で行われ、他国の「生産地」を占領すると、生産力は自国へ移動する。中盤以降、他国とは、他のクラスであることが判明する。


 一人称主人公は、読者の視点となるが、これがまた勝手な考えを持っているので共感できない。意味も無くクラスメイトに反発するため、おいおい勝手に動くなよ、という感じ。で、まあ、読んでいくと、ゲーム理論をどこか念頭に置いたお話で、支配・被支配の関係性がテーマという雰囲気。そのへんは気にいっている。


で、テーマはいくつかあって、外形的なテーマに関する疑問、「ここはどこなのか?」「なぜこういうシステムなのか」という疑問については宙ぶらりんというか、答えが得られないまま。「ルールを強要された主人公たちは、ルールの外に出られるのか(読者は、ルールを破るカタルシスを得られるのか?)」という点では、出られない(得られない)というしかない。


 社会においても、恋愛においても、支配・被支配の関係性を離脱できるか、という疑問に、社会から排除された二人は真実にたどり着きました、という回答では納得できない、というかカタルシスが得られない。そのへん。



黒幕の正体

で、黒幕の正体は、原題

「もしも人工知能が世界を支配していた場合のシミュレーションケース1」

通りでいいのかな。


 「地球で核戦争が始まってしまいました。人間という遺伝子をつなぐため、あなたたちは宇宙船で地球を脱出することになったのです」

 眠りから覚めた紀之の目に入ったのは、ソフィアと名乗る人口知能の姿だった。ソフィアは、紀之たちに彼らがどのような状況に置かれているかを説明し、宇宙船内でのルールを告げていく。

 曰く、腕輪を外さず、部屋の外に出ないかぎり身の安全は保障する。

 曰く、一日に収入が二回与えられ、収入をどのように使うかはプレイヤーの自由。ただし、画面上の丸を破壊された場合は、収入がゼロになる。

 曰く、暴力行為には罰則が与える。

 だが、説明の途中にもかかわらず、束縛されることを嫌う紀之は、ソフィアの忠告を無視して腕輪を外してしまう――

人類の危機のため、人類からあなた方の保護を委託されたAI、という形式をとっており、企画は人類、運営はAI、というアナウンスだけど、原題通りに解釈すれば、AIが世界を支配、つまり人類や人類社会がある程度残存したまま、人類をAIが管理し、AIが人類の管理実験を行うために学年を拉致し、実験台となる船に彼らを乗せた、と解釈できる。もうちょっと細かくいえば、AIが人類を直接支配してはいない、支配をアナウンスしていないけれど、実質支配を開始している。それに向けてのシミュレーションを開始した、みたいな。



 あ、 

ttp://d.hatena.ne.jp/gccbbs/20070213

富士見ミステリー文庫の数少ない傑作の一つ・秋田禎信『閉鎖のシステム』の主人公、撞久屋市論悟は「人は常に他人を支配しようとしてるんだよ」と割り切りつつ、「そんなことより考えるべきことはあるだろう?」とも語ります。僕としても現実的な解決案はそんなとこだろうと考えてます

 という感想を見た。

 支配・被支配の関係と、愛の関係について。

 フィクション内で提起される問題を、フィクション外で考えるのもなんだけど、

 コフート的だなぁと。




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