感想:夏季限定トロピカルパフェ事件

感想:夏季限定トロピカルパフェ事件

いや、もう最高傑作級。



春季限定いちごタルト事件、に引き続いての続編。


ネタバレ全開で。




 最大の事件は、小左内さんが思うより、小鳩君が頭がよかったことだ。中途半端に。古典部シリーズでは、知性=謎解き、をポジティブなものとして、面倒くささと対比させて、描いていたが、この作品では、小鳩君の知性は、ただ単に傲慢に見えるだけではなくて、小左内さんの心を抉り取る。ぐりぐり。小鳩君がバカなら、最初から互恵関係を持ち込まない筈で、小鳩君が「理想的」な人物なら、全てを話して協力を求めた筈だ。利用価値がある程度に頭はよく、策謀に気づかない程度に頭は悪く、そして小左内さんの内面に共感する程頭は良くない。心を持たない、といったほうが正しいか。あたまのいい小左内さんは、小鳩君の頭の程度に合わせて、彼を騙して利用することを選んだ。小鳩君は、結局策謀を見抜く程度には頭がよく、策謀を使わざるを得なかった彼女を理解するほどには頭がよくなかった。この悲劇。

 逆に、小左内さんのほうは、小鳩君を危険な目に合わせて平気なほど、彼を道具として見ていたわけではなかった。傍証をあげれば、小鳩くんに「キャンディーあるよ」と教えて彼が誘拐されるように仕向け、そして110番する、そういう選択肢を行使しなかったのだ彼女は。

 

 というわけで、小鳩君にとって、小左内さんの心が最大のミステリーであった、ということがこの作品最大のミステリーだった。このまま、パフェだけは食べられない、で終了かな、と思う。ROOM NOのように。秋季、冬季が出て、二人の間に相互理解がなされれば嬉しいのだけれど。本作からみた過去編の出版、という可能性もあるし。

 

この流れからいうと、「謎解き」という「キャンディー」が無くても、小鳩君が小左内さんにコミットする姿勢を見せるイベントが出ればいいんですけどね。



「シャルロットだけはぼくのもの」

の人気が高いようだ。確かに完成度の高い作品だ。でも、牙を剥くに足る相手を欲した小鳩君と、その交流の結果、小鳩君を内心を打ち明けて共感に基づくパートナーでなく、餌と嘘で操る対象として確定したイベントとして考えると物悲しい。小鳩君が単なるバカか、相手に踏み込むことを恐れたヘタレなのか、それによっても違うけど。

 …祭りのシーンはいまだ解釈できてないなそういえば。



追記:

 恋愛モノとミステリーは、この作品では密接な関係にある。

 要は、前巻で小左内さんの奇矯な服装、という謎を小鳩君も、そして読者も華麗にスルーしてしまった。そこが二巻のラストに繋がるという。




** 文字化けしている時は、[トップ]からキーワードを探してください。 **
キーワードまとめページ