冬将軍のクリスマス大攻勢

冬将軍のクリスマス大攻勢



 冬将軍がやってきた。

 

 

 「やってきたぞ」

 整列して出迎えた部下が道をあけると、彼らの肩…じゃなくて、胸の高さの「美少女」が現れた。

 「既にこの地は制圧済みじゃ。ここを臨時司令部として接」

 はいはいわかりましたわかりました。横柄な口調の彼女をなだめて、豪奢な毛皮のコートをハンガーにかける。

 ストーブの上の薬缶で紅茶を淹れた。

 「ココアのほうがいい」

 ミルクパンにミルクを入れ、ココアをつくる。

 部下の皆様に勧めた飲み物は、丁重にお断りされていた。

 サモワールでもあれば、雰囲気が出たのにな。

 リビングに戻ると、ジャージ姿の冬将軍が、ココアを待ちわびていた。

 いつのまに着替えたのだろう。

 

 

 山に住むぼくのところに、冬将軍が訪れたのは2年前のことだった。

 冬の訪れとともに、目つきの鋭い人物を見かけるようになった。捜査官とか、警備員かと思っていたが、だんだん人数が増え、婦警か刑事か、何か過激派か宗教団体の捜査かと思ってた矢先に、こんなことがあり、制服の軍人に制圧されてしまった。そのときが最初の出会いだ。はじめはいろいろ混乱したのだけど、まあ、北風小僧とかそういう類のものと考えればいいらしい。冬将軍本人まで寒いのが好きなわけではなく、なので、この山荘が気に入ったそうだ。彼女たちがいても、日常に大きな変化はなく、ちょっとココアの減りが早くなったくらいか。彼らの世界も、時代の進化とともに近代化していて、世代交代も進み、いまは彼女が将軍だ。第六装甲寒気団を率いて、部下の制服にも、彼女のジャージにも同じワッペンがついていた。

 

 

 リビングのテーブルでは、地図が広げられ、作戦会議が始まっていた。

 東の暖気団は、海からの補給を有効に活用し、その連合軍を打ち破るのはなかなか難しい。

 「クリスマスには、アントワープ東京に一番乗りじゃ!」

 冬将軍の声が響いた。

 


 交通は乱れるし、いろいろ大変だけど、都会の恋人たちのため、子供たちのため、そして、彼女のために、悪天候を祈ったのだった。




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